乱導 

(らんどう)  - コートプレイヤーロボット -     






乱鉾 

(らんぼう)  - キーパーロボット -     





<参加経歴>
・第14回つやまロボットコンテスト ハンドボールロボコン BEST 4  アイデア賞受賞


つやまロボコンというと、ご存知無い方が大多数ではないかと思います。
http://event.tsuyama.org/robocon/

岡山県津山市で毎年行われているロボコンで、その歴史はかわロボにも匹敵します。
今回のテーマは「ハンドボール」。
ロボットが2対2で1個のボールを投げあってゴールした得点を競うという競技です。
葵屋も、たまにはかわさき以外の大会に目を向けてみよう、ということで参戦してみました。

しかし困ったことに、このつやまロボコン、参加チームのほとんどが学校や会社ということもあってか、
過去の情報がほとんど出回ってません。
相手チームの水準が不明というのは恐ろしいものです。
仕方がないので、精一杯大人気無いモノを作ることになりました。なってしまいました。

コートプレイヤーロボットの規定重量は12kgまでです。
1台で12kg使えれば、いろんな無茶が出来る気がします。
そこで、2009年度かわロボ本大会のヒーロー「神風刃」さんをヒントに、
重さ800gのステンレス製円盤を3000rpmで回転させることで得られるエネルギーでボールを投げてみようと試みました。

試射(前編)。

キュイイいイィィィィィィィぃぃィイイイィィィィィィィ・・・・・・・・・・・・・・
「・・・3・2・1・」
ガギンッ!! ばすっ
ポテっ・・・コロコロコロ・・・。

えっと、飛距離3mくらい?

とてもイマイチな手応えでした。

調べたところ、上の図の@からAまでの過程で機構的な無駄がありすぎて、エネルギーが大きく失われていることが判明しました。
具体的に書くと、初めて試射した時、上の図の赤い部品は300gありました。
さらにバネやら何やらいろいろゴテゴテしたギミックの抵抗により、ボールを射出するはずの膨大なエネルギーのほとんどは自壊に使われました。
下の写真は上の図の白い棒状の「インパクトユニット」、通称「薬莢」です。


断面幅10mm×高さ15mmの棒状(だった)ジュラルミンA2017

フライホイールがジュラルミンをバターのようにえぐっていきました。
写真右下のリング状の残骸は、ベアリングの一番内側の部分です。他は砕け散りました。

あれ?
ボールを投げるマシンのつもりが、いつの間にか自作フライス盤の出来損ないに・・・。

・・・・・・・・・・・・。

既に後に引ける状況ではなく、当然後に引く気も無い。
どんな手を使ってでも本番までに発射できるようにしないと。

薬莢の材質を鋼とかステンレスとかに変えたら今度はフライホイールがやられることは目に見えています。
そしてバネやら何やらのギミックがある=発射不能、ということは、外すしかありません。連射機構を。

この時点でハッキリしたことが1つ。
1試合3分の球技において、

連射不可能。

ハンドボールロボコンの本番試合中にドリブルする作戦を本気で検討しました。

しかもこの時点で本番まであと1週間とか計画狂い過ぎ。


試射(後篇)。


いろいろと奇跡が起こりました。

本番まで1週間をきった頃には発射システムが退化してシンプルになっていました。
こんなこともあろうかと、たまたま深い意味も無く飾りで空けておいた穴等を利用して、
いろんな偶然が重なった末に薬莢さえうまく働けば1試合につき1発限りの射出が出来そうな状態に漕ぎ着けました。

薬莢はいろいろ試してみた結果、ただのアルミの角パイプを使って量産することにしました。

薬莢が一撃で使い物にならなくなる件について、aoiさんより
そこは普通パワー落とすだろ。
との至極冷静かつ常識的なツッコミが入りました。

あぁ、言われてみればパワーの調節を考えてませんでした。
今までは6セルのニッカドバッテリー1本で動かしていたから・・・えっと・・・。
あれ、ゆうゆうさんがなにやらニッケル水素を2本取り出してるよ。
おや、こんな所にバッテリー2本を直列に繋ぐコネクタが。
あっというまにパワーが調節されました。

そして本番前日、いや確か日付が変わっていたので当日の深夜、最後の試射をしてみました。

ギぎュぉオオォォォォォぉォォォぉォォ・・・・・・・・・・・・・・

「・・・3・2・1・」

どンっ!! 

バんっっ・・・コロコロコロ・・・。

あれ、ボールが消えたよ?

観測者が3人いました。
3人とも目で追えませんでした。
見えてないので恐らくですが、ボールは8mくらい先の壁までほぼ真っ直ぐすっ飛んだようでした。

残念ながら、このクリティカルヒットは最初で最後でした。
フライホイールの爪の先が、アルミ角パイプに上手いこと引っかかった時に限り会心の一撃を放つようです。

そして、アルミ角パイプの薬莢はこう↓なります。



ホームセンターで販売していた1.5t×12×12の、以前は真っ直ぐな純アルミ角パイプでした。

けど大丈夫、予備を10本近く作ったから。

そしてこの威力なら、コート中央からでも十分シュートが狙えるのではないかと。





と思っていたら、本番は不具合が重なって一度も真っ直ぐ投げられませんでした。

リーグ戦で他2チームと引き分けになって、まさかのジャンケン勝負!
ジャンケンの様子を見に行ったら、既に勝負がついてた。
ここ一番で勝ちを引き寄せるガルデンさんの勝負強さに感謝。
ってかジャンケンもそうだけど、この人何で練習ナシのぶっつけ本番でこんなに操縦上手いの?

正直な話、主にボールを投げる機構以外の部分で勝負を決めてます。
発射機構の不具合を考えると、4位という結果は少々出来すぎではないかと。

上位3チームとの間にはトータルスペック的に大きな差を感じました。
終盤バッテリーを10本全部使い切ってしまって動けなかったことを差し引いても、
今回それ以上勝ち上がることはなかったのではないかと思います。

予選リーグでクリスタルがかぶった際、
クリスタルを貸して頂いた岡山工業高等学校の方々にはこの場を借りてお礼申し上げます。


最後に、今回組み込んだフライホイール機構は一歩間違えば重大な事故につながる恐れのある
大変危険なものです。
うっかり油断してて××××がえぐれたもう手術しても一生直らないよとか有り得ない話ではありません。

決して安易に真似しないでください。



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